
(画像はハヤカワepi文庫より)
イントロダクション
なんでも、小説『1984』は英国で「読んでいないのに読んだフリをする小説」第1位だと、この本を翻訳された高橋和久氏が、訳者あとがきの中で言及されていました。(へぇ〜、おもしろい)
ボクはむか〜し、この小説を読んだことがあります。
でも、高校生だった当時のボクには少し難しく、何が面白いのか全く理解できませんでした。
数年前に新訳版『1984』が出版され、さすがに内容も忘れていたので、買って読み直してみました。
人生経験の賜物か、あるいは単に歳を取ったせいなのか、今回はページをめくるのがそれほど苦痛ではありませんでした。
そして今回は、映画『1984』(1984年・英)を鑑賞。
難しいことは抜きにして、この映画をレーダーチャートで五つの項目に解体してみたところ、とんでもない結果になりました。
早速ご覧ください。
(断っておきますが、このレーダーチャートはボクが勝手に作りました)
どんな映画?
『1984』(1984年・英)
公開:1984年10月10日(英)
監督:マイケル・ラドフォード
出演:ジョン・ハート、リチャード・バートン、スザンナ・ハミルトン
全体主義国家オセアニアで、歴史改ざんを仕事とするウィンストンは体制に疑問を抱く。
ジュリアとの密かな恋を通して「思想の自由」を求めるが、党の監視からは逃れられない。
やがて彼は、支配と服従の極限へと追い込まれていく。
シネマ解体新書:『1984』 (以下に解説あり)

ストーリー(おもしろ度、没入度) 【2点】
どれだけ物語に熱中できたか、主人公に感情移入できたかを基準にしました。
原作ありきの映画で、その世界観を重視しているため、ワクワクやハラハラといった感情よりも、一貫して暗いトーンと憂鬱さが最後まで付きまといます。
また、先に原作を読んでいたこともあり、どうしても比較してしまい、物語に入り込めませんでした。(あくまで個人の感想です)
ジャンルはSci-Fi(想像力の凄さ・楽しさ) 【2点】
戦争状態の世界を舞台にしているため、一見すると普通の戦争映画のようにも見えます。
主人公が務める真理省記録局の描写はモダンレトロな雰囲気。
ただ、それもすぐに見慣れてしまい、ボクには『アパートの鍵貸します』の新聞社のイメージが浮かびました。
ビジュアル面では、ビッグ・ブラザーが常に映し出されるテレスクリーンが印象的です。(ネタバレ要素があるので詳細は控えます)
とはいえ、現代の目で見ると、それも特別新しくは感じません。
小説では想像力で補っていた装置が、映像になると《ただのテレビ》に見えてしまうのです。(あくまで個人の感想)
ファンの評価 どれだけ一般の映画ファンが支持したのか? 【7点】
これはさすがに、ボク個人の意見では成り立たないので、AIを使って、ディープリサーチをかけてみました。
その結果が7点という、意外な高得点でした。
この映画が支持された理由は主に以下の三点。
① 原作への忠実度と重厚な世界観
② 俳優陣の迫真の演技
③ 現代社会との共鳴性
この分析には異論はありません。
さすがAIの分析力は的確です。
……だからといって、映画が面白いとは限りませんが。(これも個人の意見)
音楽・サウンド(音楽が作品に与えた影響・音作り) 【2点】
音楽を担当したのはユーリズミックスです。
ボクはサントラCDも持っています。
ただ、ユーリズミックスである必然性が、作品の中ではあまり感じられませんでした。
サントラ単体で聴くのは良いのですが、映画の中では印象が薄い。
空間の広がりや閉鎖感を音で演出するような作りにも感じられませんでした。
(オーディオ的にサラウンド再生すれば、それなりに効果はありますが)
ラストシーン(印象度・どれほど心に残ったか) 【5点】
ある意味、問題を含むラストです。
小説では主人公の意思がはっきり伝わりますが、映画ではどちらとも取れる表現に感じました。(個人的な意見)
ただし、《2+2=》の使い方は、この作品のテーマを象徴する重要な演出でした。
未見の方には分かりにくいですよね。すいません。
クロージング
この映画は決して楽しい作品ではありません。
原作の世界観に忠実であろうとした結果、見る人を選ぶ映画になっています。(でも映画ファンなら、一度は観ておいて損はない作品です)
そして途中から、どうしてもある作品のイメージが頭を離れませんでした。
それは、スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』(1971年・英)です。
こちらも原作を映画化した作品ですが、キューブリックは原作に縛られず、自由な発想で映画化しました。
しかも、十分なエンターテインメント性があります。
言い換えれば、映画『1984』(1984年・英)は、そのエンタメ性を徹底的に削ぎ落とした作品、とも言えるでしょう。
以上が《シネマ解体新書》です。
これからもこの形式で映画を解体していきます。
気になった方は、ぜひブックマークを。


コメント