🧛‍♂️ 「呪われた町」——ハンバーガーとコーラの時代に蘇った、最恐の吸血鬼譚

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どーも、ロッカリアです。
今日はボクが《生涯ベスト級ホラー》として大切にしている一冊、
スティーブン・キング『呪われた町』(1975・米) の話をしたいと思います。
映画ファンの人なら、知っている・知らないに関わらず、キング原作の映画化作品を観たことがあるはずです。((いや、絶対観てるよね)

この本を紹介しようと思った訳

■ 偶然、1977年のハードカバーが姿を現す!

そろそろ年末だし、本棚を整理していたら、なんと1977年発売当時のハードカバー版が出てきたんです。
奥付の紙質、装丁の重み、古いインクの匂い──当時の空気を閉じ込めたような存在感に思わず手が止まりました。
もちろん黄ばんでいるし、カバーは擦り切れていて、最終ページ(あとがき部分)は、何かに、かじられたように、破れていました。(それがまた怖いわ)
あの時代、この本を手に取った読者は、何を考えながら、この本のページをめくったのだろうか。
そんな想像をしながら、少し読み始めたのが運の尽き、気がつけば1時間ほど読みふけっていました……。

(集英社・プレイボーイ・ブックス)

そこで、ボクの勝手な想像ですが、映画好きな人って、読書家の人も結構いるんじゃないかと思い、数あるキングの小説の中でも、ボクが若い頃に読んで衝撃を受けた、「呪われた町」をぜひ読んで欲しいと思い取り上げることにしました。
色んな情報も混ぜて、楽しくて映画ファンの人が楽しめる記事にしました。

ボクがこの作品を手に取ったのは、1970年代後半。
当時読んでいた雑誌で、こんな紹介を見かけたのがきっかけです。(確か、週刊プレイボーイ、あるいは月刊プレイボーイ…。当時男子の必需品!)

「ハンバーガーを食べながら、コーラを飲む現代に、吸血鬼が蘇る!」

文言は記憶の断片ですが、ニュアンスは確かにこんな感じでした。
当時、吸血鬼といえば古城・霧・コウモリ・黒マント……そんな《19世紀の絵空事》でした。
確かに、クリストファー・リー演じる映画『ドラキュラ・シリーズ』は、そんな舞台の物語でも、とても怖い作品でした。
怖いけど、やっぱり昔話の領域。
身近な怖さ、みたいなものは、ありませんでした。

それが、アメリカのどこにでもあるような田舎町、テレビがつき、ファストフードが香り、学校やガソリンスタンドがある 《現代の日常》に侵入してくる
これだけで、ボクの脳天に稲妻が走りました。

「そんな吸血鬼の描き方があったのか!?」

これがボクの《キング体験》の始まりです。

キングの想像力は、映画界に何をもたらしたのか!?

今でこそスティーヴン・キング映画は、当たり前のように存在していますが、
キングが登場した70年代当時、ホラー小説が映画界に与えた影響力は異常でした。

『キャリー』(1976)では、普通の女子高生に超能力を持たせた。
『シャイニング』(1980)では、ホテルという日常空間を地獄に変えました。
『デッドゾーン』『クリスティーン』『ペット・セメタリー』……
社会のすぐ隣にある恐怖を、映画は次々と拾い上げて行きました。

キングの小説は、ホラーの文脈を《怪物の物語》から《人間の物語》へと引き戻しました。
その結果、映画監督たちは、ホラー表現の幅を一気に広げられたんです。

しかも、キング作品の映像化数は異常と言ってもいいぐらい、非常に多いんです。
正確な統計が取られていないので《推測ベース》になりますが、
シェイクスピアに続き、世界で最も映像化された作家の一人、といわれるほどです。
(※作品数の多さ・映像化の頻度からも、十分に妥当な評価だと思います)

つまりキングは、文学の側から映画界を揺さぶった《モンスター級の作家》に間違いありません。

■ では、なぜボクは『シャイニング』よりも『呪われた町』を愛するのか?

スティーヴン・キングの代表作といえば、多くの人は『シャイニング』(1977) を挙げるでしょう。
もちろん、あれはホラー文学の金字塔です。

でもボクは、どうしても 「呪われた町」が一番好きなんです。
その理由はひとつです。

古典ホラーを《現代》に叩き戻した功績が、とてつもなく大きい。

吸血鬼は、もはやドラキュラ城だけの存在ではない。
隣の家にも、学校にも、酒場にも、ガソリンスタンドにも現れる。
あなたの住む街にも普通に潜んでいるかもしれない。
こんな事、今では当たり前のように、映画・小説では描かれていますよね。
けど、1970年代、誰もこんな発想で吸血鬼を描いた人物はいなかったんです。

キングは『呪われた町』で、古典の怪物を現代社会に連れ戻した。
これは、単なる設定変更ではなく、ホラー文学の地殻変動だったんです。

「過去の怪物が《今》の世界で本気を出したらどうなるか?」
この問いを、初めて真っ向から描いたのが小説「呪われた町」だったのです。

だからこそボクは、
『シャイニング』よりも、この作品の方が、 恐怖の発明性 において上だと思っています。

■ では、映像化された『呪われた町』はどうだったか?

……正直に言います。

ほとんどが、《原作の足元にも及ばない》出来です。

『死霊伝説』1979年版も、『死霊伝説:セーラムズ・ロット』2004年版も、『セイラムズ・ロット』2024年版も、キングの“あの静かで湿った恐怖”を完全再現できていない、と思います。

《現代に吸血鬼が蘇る》という革命的テーマのせいで、どうしても映像化した瞬間に《普通のモンスター映画》になりがちなんです。

それくらい、原作の恐怖が特殊で深いと思います。

だからボクは読者にこう言いたい。

「呪われた町」は、映画を観たことがある人ほど、原作を読むべき作品だ。

映画でピンと来なかった人は、むしろ幸運です。
《本物の恐怖》が、まだあなたの中に眠っていると言う事だから。

■ 最後に——ボクが今でもこの本を推し続ける理由

ホラーは時代によって変わります。
でも「呪われた町」の恐怖は、今でもまったく古びていません。

なぜならキングは、吸血鬼を《現代社会の闇》として描いたからです。
小さな町に潜む寂しさ、孤独、怒り、嫉妬……
そうした人間の弱さに、吸血鬼が入り込んでいく。

「呪われた町」はただの古典ホラーのリメイクではなく、
【現代ホラーの基盤をつくった作品】なんです。

映画は全部失敗してもいい。
原作が永遠である限り、この物語は消えません。

ボクが心から推す、キングの最高傑作の一つ
ぜひ、その恐怖を味わってください。

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