これはラジオ・ドラマ版「宇宙戦争」に起こった、歴史的大事件の真相に迫ったドキュメンタリーです。
どーも、ロッカリアです。
還暦ブロガー、と言うより、単に映画好きジジイで、noteの方で映画案内(←リンク)をしています。
興味がある人は、一度遊びに来て下さい。
映画『宇宙戦争』は、映画ファンなら、近年、スピルバーグ監督がトム・クルーズを主演にした作品で、知っている人も多いと思います。
1953年に、同名映画がありますが、こちらはオールド・ファンぐらいしか、見た事が無いかも知れません。
実は、もっと以前に、ジュール・ヴェルヌの小説「宇宙戦争」は、ラジオ・ドラマ化されていたのをご存知でしょうか?
しかもこのラジオ・ドラマは、全米を巻き込んだ、大事件に発展したのです。
去る10月23日(木)午前0:15〜午前1:15に、【ダークサイド・ミステリー】『宇宙戦争』パニック事件 〜75年目の真実〜「100万人をだましたフェイクニュース」という番組が再放送されました。
この番組は、単に見逃してしまった、と言うのは勿体無いのです。
何故なら、この歴史的事件は、現代の社会に、警鐘を鳴らしているからです。
なので、お節介ながら、この歴史的事件を分かりやすく解説したいと思います。
🎙 ことの発端は?
当時ラジオは、アメリカ人の生活の中心にありました。
家族でラジオを聞くのは当たり前、家族の団欒を演出するアイテムでした。
1938年10月30日(日)、ハロウィン前夜の午後8時15分。
いつものように、ラジオから流れてくる音楽に耳を傾けていると「臨時ニュースをお知らせします」と言うアナウンスが流れてきました。
続けて、「ニュージャージー州のグローバーズミルに、隕石が落ちました。現場から、詳しいレポートをお送りします」と、緊迫したレポーターの声が響き、また音楽が流れます。

🪐 1938年、ラジオが“火星人襲来”を告げた夜!
その音楽を聴いていると、すぐに、再び臨時ニュースが入ります。
「隕石の中から、何かが出てきて、人々を襲い始めました!」
そのレポートは、現場の悲惨な状況を生々しく伝えて来たのです。
これを、聞いた市民が、本当の放送だと信じ、全米100万人が大パニックになったのです。
火星からの物体がニュージャージー州に落下し、謎の生物が現れたという“臨時ニュース”が挿入、この演出があまりにリアルだったため、多くのリスナーが「本当に宇宙人が攻めてきた」と信じてしまいました。
でもこれは、CBSラジオで放送された【マーキュリー劇場】(The Mercury Theatre on the Air)の特別番組だったのです。
警察への通報、避難、交通混乱——まるで本物の戦争が起きたかのような一夜。
全米で、100万人が大パニックに陥ったのです。
この放送が、「ラジオ史上、最も有名な事件」となります。
🧠 真実はどこに? 伝説の裏側
しかし、近年の研究で、「全米で100万人がパニックになった」という話は誇張だった、と言う事が明らかになったのです。
実際には、当時ラジオの「マーキュリー劇場」の聴取率がそれほど高くなく(2〜3%)、放送を聞いていた人は限定的だったという記録も。
では何故、「ラジオ史上、最も有名な事件」 になってしまったんでしょう?
そこには、「メディアが現実をねじ曲げ、恐怖を作り出す」一大捏造キャンペーンが、繰り広げられたからです。
ラジオのオンエアがあった翌日、新聞各社はCBSラジオに行き、このドラマの監督・脚本のオーソン・ウェルズにインタビューを行いました。
と言うのも、放送当日、警察や新聞社に、住民から問い合わせの電話があったからです。
そして、オーソン・ウェルズの話を聞いた後、新聞社による、フェイクニュースの一大キャンペーンが始まったのです。(オーソン・ウェルズはこの騒動で、一躍有名人に。その後、映画『市民ケーン(1941・米)』で映画史に名を刻むことになります)
フェイク、捏造、ネガティブ報道のオンパレード
各新聞社は、一面にこの大騒動の記事をアップしました。
「ニューヨーク市民は、一斉に夜空を見上げた!」
「放送のショックで、15人が病院に搬送された!」
「警察や新聞社にパニックになった人々から電話が殺到!」
「妻が殺される前に自死しようと、毒の入った瓶を手に取った」
「人々は、給水塔を火星人と思い、銃で打った!」
「全米100万人がパニック、逃げ惑う人々!」
「現場近くの住民が、ライフルを構えて宇宙人を待っている写真」が、一面トップに!
なぜ、新聞社がこんな事を? 75年後の真実!
これが、最近まで、真実として歴史に刻まれ、「ラジオ史上最大の事件」として、アメリカでテレビ・ドラマまで制作されました。
その昔、NHKで放送されたのを、ボクも見ました。(↑)
そして、最近と言うか、今回のオンエアを見るまで、「へえ〜、大変な騒動・事件だったんだなぁ」と信じていました。
ところが、このオンエアを見た時、ボクが信じていた話と、かけ離れていたので、ビックリしました。
歴史学者やラジオ評論家などが、この事件を追って、詳細に調べた結果、全部が捏造である事が分かって来たのです。
どうしてこんな事(ウソ)を、捏造までして新聞社は作ったのか?
それを解くには、新聞とラジオの関係が、大きく関わっていたのです。
当時、ラジオは国民にとって、新しいメディアだったのです。
新聞はどんなに早くても、そのニュースは翌日にしか伝わりません。
しかし、ラジオと言うメディアは、今回の事件のように、「臨時ニュース」で、または現場からの「リアル・タイム」でニュースが届けられました。
当然、新聞社は危機感を常に持っていました。(もちろん売上も失速)
1938年当時は、ナチス・ドイツがヨーロッパを席巻し始めた頃で、人々は新しい戦争のニュースも、情報はラジオから受けていました。
そこで、このラジオ・ドラマが引き起こした、ちょっとした騒動を、ラジオのネガティブ・キャンペーンに利用すると共に、新聞で大袈裟な見出しをつけ、販売部数を伸ばそうと考えたのです。
実際に、騒動から3週間で、1万2500件の関連記事が、誌面を賑わせたのです。
フェイクニュースを見抜く目を!
“フェイクニュース”という言葉が生まれるよりずっと前、この1938年の放送は、情報を受け取る側の「想像力」がどれほど強力で危険なものかを証明しました。
ディープフェイスによる有名人の捏造写真。
AI画像により、無いものを作り出す捏造。
事件を利用した、全く嘘のニュースの拡散。
この「100万人をだましたフェイクニュース」は、現代のSNS時代に生きる私たちにとっても、「信じる前に確かめる」ことの大切さを改めて思い出させてくれるエピソードです。
また、番組の最後には、「曖昧な情報を聞き流す能力が、現代には求められている」と締め括っています。
🎞 まとめの一言
この事件を知ったとき、僕は“火星人”の話よりも、人間の想像力の暴走に震えました。
SNSで瞬時にデマが拡散する今、1938年の夜はまるで予言のようです。
メディアを信じるとは何か──その問いが、いま再び突きつけられています。
ウェルズはあの放送で、たった一夜にして世界を変えました。
だが本当に怖いのは、火星人ではなく“人間の想像力を利用する事”だったのかもしれませんね……。



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